エルガード協会設立の趣旨
1.建設から維持管理の時代へ
わが国は、第2次世界大戦後の国土復興とその後の高度成長期において、新幹線、高速道路、港湾、空港を始めとして膨大な社会基盤施設が建設されてきました。これら社会基盤施設は建設後、数十年が経過し、老朽化により、何かしらの維持管理が必要な時期を迎える状況となってきています。このような背景から、21世紀は、建設から維持管理の時代とも言われおります。
折しも、20世紀の最後はトンネルおよび高架橋からのコンクリートの剥離、落下などコンクリート構造物の劣化問題とその維持管理のあり方が話題となった年であり、21世紀に入り、どのようにコンクリート構造物を維持管理すべきかについて、各方面で真正面から検討され始めております。
2.塩害防止の究極の技術・・・電気防食
このような維持管理の時代を迎え、ライフサイクルコストの優れた施工方法をそれぞれの要求条件に応じて選択することが求められ、これまでの一律な仕様規定での施工コスト比較による補修工法選定の時代は終わり、より信頼性の高い技術が要求される時代が訪れようとしています。
コンクリート構造物の鉄筋やPC鋼材が腐食する“塩害”は、人間では骨の癌に例えられるように、深刻な劣化の一つです。電気防食は、腐食反応を電気化学的に制御・抑制する最も信頼性の高い方法であり、塩害防止の究極の技術として注目されています。
米国連邦道路局は、1982年、「塩害を停止できる唯一の技術は、現状、電気防食である」とのコメントを発表しました。これは、塩害防止技術として、電気防食の有効性と信頼性が高く評価された証です。
3.エルガード工法を中心として
こうした背景のもと、電気防食により社会に貢献することを目的に、住友大阪セメント株式会社がコンクリート構造物の塩害補修技術として開発したスミセエルガードシステムを基として、塩害補修工事に関わる方々を中心に日本エルガード協会の設立を企画することとなりました。
エルガード工法は世界25カ国に百数十万㎡の実績を有する電気防食システムで、1990年、米国エルテック社よりエルガードシステムの基本技術を導入し、精力的に実構造物に適用するとともにその結果を学協会で公表し、各方面から技術の信頼性および有効性に高い評価を頂いております。
これらの見識をもとに、協会設立により、なお一層の研究開発と工法の完成度の充実をはかるべく活動してまいります。
4.ニーズに対応した提案型協会を目指して
協会会員は、マリコン、PC橋梁メーカー、補修専業会社、電気防食専業会社など、コンクリート構造物の塩害について豊富な経験を持つ会員から構成されています。
また、コンサルタント会社から構成される電気防食技術研究会では、エルガード工法の枠にとらわれず、電気防食全般に関する技術の研鑚と協会会員を交えた技術研究会による実務レベルでの諸問題の解決を目指します。
エルガード協会では、電気防食の普及活動を通じて、コンクリート構造物の塩害に関するあらゆる問題をテーマとして会員各社の知恵と技術により、解決策を提案致します。
是非とも、当協会をご利用いただければ、問題解決のお役に立てるものと存じます。
皆様方には、私共の目指すところをご理解いただき、今後のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。